Canon PIXUS MP610 を Linux から使う

以下では主に DebianディストリビューションCanon のプリンタ MP610 を使う方法を示す。

まず、Canon のウェブページからファイルをダウンロードする。MP610 の場合、PIXUS iP3500 / PIXUS iP4500 / PIXUS MP520 / PIXUS MP610 共通のパッケージと MP610 固有のパッケージ、そしてインストール方法が書かれた操作説明書の三つのファイルをダウンロードする。

まず、コンピュータとプリンタを USB ケーブルでつないでおく。

ダウンロードした二つのパッケージをインストールする。コンソールから行う場合は以下の用になる。だたし、xは数字であり、ダウンロードしたパッケージの名前に応じて変える。私がインストールしたファイルは1だった。

$ sudo dpkg -i cnijfilter-common_2.80-x_i386.deb
$ sudo dpkg -i cnijfilter-mp610series_2.80-x_i386.deb

あるいは、ダウンロードしたパッケージをパッケージマネージャで開くことでもインストールできる。RPM 系ならば rpm -ihv を使えばよい。

CUPS を再起動する。以下に示すように、/etc/init.d/cupsys がない環境では、代わりに /etc/init.d/cups を入力する。

$ sudo /etc/init.d/cups restart

操作説明書に記載されているインストール方法では、この次に

$ sudo /usr/sbin/lpadmin -p MP610 -m canonmp610.ppd -v cnij_usb:/dev/usblp0 -E

をやるとされているが、私の環境では

lpadmin: Unable to copy PPD file!

と出た。

CUPS のエラーログ /var/log/cups/error_log を見ると

E [19/Jun/2009:06:55:17 +0900] [cups-driverd] 
Unable to open "/usr/share/cups/model/canonmp610.ppd" - 
No such file or directory

のようになっている("/usr/share/cups/model/canonmp610.ppd" が見つからないと言っている)ので、シンボリックリンクを張る。具体的な張り方は後述する。

このエラーログの最後の部分は

$ tail /var/log/cups/error_log

で見ることができる。

また、Firefox などのウェブブラウザからもエラーログを見ることができる。具体的には

  1. http://localhost:631/ をウェブブラウザで開く
  2. 「管理」タブをクリックして管理ページを開く
  3. 「サーバ」という項の「エラーログを表示」ボタンをクリックする

という手順で見ることができる。なお、http://localhost:631/からはエラーログを表示させる以外にも、CUPS に対する様々な操作が行える。認証ダイアログが出た場合、

  • root のパスワードが設定されている環境では、ユーザ名として root、パスワード として root のパスワード
  • Ubuntu のように設定されていない環境では、ユーザ名として sudo を実行できるユーザ名、パスワードとしてユーザのパスワード

を入力すればよい。

閑話休題シンボリックリンクを張る前に /usr/share/cups/model/ というディレクトリがあるかどうかを確認する。なければ、ディレクトリを以下のようにして作る。

$ sudo mkdir /usr/share/cups/model

cnijfilter-mp610series_2.80-x_i386.deb をインストールすると

$ dpkg -L cnijfilter-mp610series | grep canonmp610.ppd
/usr/share/ppd/canonmp610.ppd

から /usr/share/ppd/canonmp610.ppd がインストールされていることが分かり(RPM 系ならば dpkg -L の代わりに rpm -ql を使えばよい)、エラーメッセージに/usr/share/cups/model/canonmp610.ppd とあるので、シンボリックリンクは以下のようにして張る。

$ sudo ln -s /usr/share/ppd/canonmp610.ppd /usr/share/cups/model/

以上をやった上で再び

$ sudo /usr/sbin/lpadmin -p MP610 -m canonmp610.ppd -v cnij_usb:/dev/usblp0 -E

を行うと、今度は

lpadmin: Bad device-uri "cnij_usb:/dev/usblp0"!

というメッセージがコンソールに出る。

このエラーの原因は lpadmin が cnij_usb をうまく扱えないことにあると考えられる。

そのため代わりに、一旦

$ sudo /usr/sbin/lpadmin -p MP610 -m canonmp610.ppd -v usb:/dev/usblp0 -E

とする。すなわち cnij_usb を usb で置き換える。

その後、/etc/cups/printers.conf を編集する。Vim で編集する場合は

$ sudo vim /etc/cups/printers.conf

となる。ここでは Vim を選んだが、好みに応じてテキストエディタ vimemacs、gedit や kate 等に変えても構わない。

テキストエディタで /etc/cups/printers.conf を開くと

DeviceURI usb:/dev/usblp0

という行があるので、コメントアウトする(行の最初に # を加える)か削除し、

DeviceURI cnij_usb:/dev/usblp0

という行を追加する。

以上の作業が終わったら、再び CUPS を再起動する。

$ sudo /etc/init.d/cups restart

MP610 に限らず Linux 環境でプリンタを使うときは用紙サイズの設定が適切か(日本では、多くの場合 A4)確認しておいた方がよい。用紙サイズが例えば、Letter になっていたりすると「用紙がありません」「用紙不足」といったメッセージが出て印刷できない。Firefox の場合、メニューの「ファイル(F)」->「ページ設定(U)...」から用紙サイズの確認/設定ができる。また、プリンタオプションは

  1. http://localhost:631/ をウェブブラウザで開く
  2. 「プリンタ」タブをクリックして管理ページを開く
  3. 確認/設定したいプリンタの「プリンタオプションの設定」ボタンを押す

という手順で表示されるページから行える。